眼内レンズの選び方
眼内レンズの選び方
単焦点眼内レンズは基本的に焦点が一つになります。例えば焦点を遠くに合わせると、遠くは裸眼で見えますが、近くはメガネをかけて見る事になります。人は50歳を超えてくると老眼は経験しているのであまり不自由ではありませんが、やはり老眼鏡を常に持つのは大変ですね。白内障手術というのは、老眼矯正や乱視矯正など屈折矯正手術も兼ねています。
医療技術の進歩で人が快適な生活をおくれるように、眼内レンズが進歩してきたのです。最近は焦点が1つの単焦点レンズだけでなく、焦点を複数持つ多機能な多焦点眼内レンズが世界に出てきております。白内障手術を検討されている患者様は、同時に屈折矯正手術を受けることができる良い機会となります。
近視が強くてメガネが分厚くなって困っていた患者様、乱視が強くてメガネでも目が見えないと諦めていた患者様、老眼で携帯スマホや本が読めずに次第に字を読むことから遠ざかっていた患者様、今まで諦めていたりできなかったことが解消できる可能性があります。ご自身のライフスタイルに合わせて快適な生活の為に、費用対効果なども検討して眼内レンズを決めて頂けることが大切だと思います。患者様が快適な生活をおくれるようにご検討をお願い致します。
保険診療で行える治療について
- 単焦点レンズでは焦点が1つになります。
- 焦点が合わない距離は常にメガネが必要となります。
- 費用はすべて保険診療でおこなうことができます。
各種選定療養多焦点レンズについて
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Johnson&Johnson社 TECNIS Odyssey
2024年11月、新しい選定療養対象の多焦点眼内レンズ「テクニスオデッセイ(TECNIS Odyssey)」の導入が国内で始まりました。
- 残余屈折による耐性が高く、眼鏡による術後の矯正頻度が極めて低い
- 高精度の表面設計で、遠方から近方までスムーズに焦点を移動できる
- 夜間光視症の軽減を実現、夜間の視界不良が起こりにくい
- 色収差の低減により、昼夜を問わず、クリアでシャープに見える
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AMO社 TECNIS®Multifocal®
2焦点回折型眼内レンズで、現在、日本国内で最も普及している多焦点眼内レンズといえます。近方焦点が33cm・42cm・50cm の3タイプがあり患者様のライフスタイルによって選ぶことができます。ただハログレアがあるので、夜間の車の運転には適していない。明所では私の使用経験上では評判は良いと感じています。
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AMO社 TECNIS®Symphony®
エシュレット回折型眼内レンズ。エシェレット回折構造でピントのあう明視域を広げる光学設計。手元のピントが合いにくいものの、遠方から中間までの見え方の質が良いと言われているが、30-40cmが見づらい。メーカーは、夜間のハロやグレアが少ないと言っております。乱視矯正ができます。手元見え方を除けば、私の使用経験上では評判は良いと感じています。
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Alcon社 AcrySof® IQ ReSTOR®
アポタイズ回折型2焦点レンズ。Yellowが濃い為、色彩感覚の違和感や見づらいと感じることがある。近方は見づらいが、乱視矯正レンズも準備がある。一時リコールで配給が停止していた。私の使用経験上では評判はあまり良くないと感じています。
自由診療で行う治療について
複数の距離に焦点が合う完全に自由診療で行う多焦点眼内レンズで、乱視矯正でき3焦点(遠く、中間、近く)に焦点があうレンズがあります。
注意:患者様が任意の生命保険や医療保険で先進医療特約を契約していても、先進医療は支給されません。すべてが自由診療となります。
暗い所で光を見たとき光の輪(ハロ)や散乱(グレア・バースト)が理論上ほとんどないレンズがあります。慣れるまで時間がかかることがあったり、焦点が合ったところのコントラストが単焦点レンズに比べやや劣る事があります。
各種プレミアム多焦点レンズについて
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乱視矯正 プレミアム3焦点眼内レンズ(遠方 中間 近方)PhysIOL社 FINEVISION NON-TORIC® TORIC®
3焦点回折型眼内レンズ。遠方・近方だけでなく、中間距離も見やすい。回折型2焦点で光学的ロスとなっていた部分を利用して3焦点化を実現している。さらに乱視矯正もでき満足度の高いレンズです。
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乱視矯正 分節屈折プレミアム3焦点眼内レンズ(遠方 中間 近方)Oculentis社 LENTIS Mplus X®
分節屈折型眼内レンズ。遠方・中間・近方が見やすいが、手元の見え方はやや弱めである。虚像(ゴースト)が見えることがあるが、回折型に比べると、暗所での光の滲みが少ないと言われている。乱視矯正もオーダーメイド制作での対応が可能である。
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累進焦点 プレミアムEDOF型眼内レンズ SIFI社 MiniWELL Ready®
新世代の累進焦点EDOF型眼内レンズです。累進焦点でピントのあう明視域を広げる光学設計で、遠方・中間・近方が見やすいが、手元の見え方はやや弱めです。さらにハロー・グレアがほとんどなくさらに質のよい見え方である。見え方の質感や夜間の車の運転をするのに最適な多焦点眼内レンズであるので最も満足度の高い多焦点レンズであると私は考えています。